LINEMOから新しいプラン「ベストプラン」が登場します。
従来のミニプラン(3GB)とスマホプラン(20GB)を基に、それぞれに10GB・30GBのデータ容量オプションを追加し、段階制の従量課金制に改良されたものです。
これまでは、LINEMOで所定のデータ容量を使い切ると、追加で購入する必要がありました。そのため、Povo2.0(au)や楽天モバイルのように柔軟な容量設定ができる他社プランに比べ、使い勝手がやや劣る部分がありました。しかし、この新プランにより、他社プランに対抗できるのではないかと思われます。
筆者はこれまでLINEMOを推奨してきました。地味な存在ながらも、Softbankのキャリア品質の通信網を利用でき、3GBが990円というリーズナブルな価格で、LINEもデータ容量を気にせず使える点や、余計な手数料が一切かからないなど、多くの利用メリットがあるからです。3GB/20GBの容量のみでの運用には多少の割り切りが必要ですが、十分魅力的なプランであると感じています。
ただ、最近では楽天モバイルがついにプラチナバンドの実用化に向けて動き出し、その総合的なお得感や将来への期待が高まっているのも事実です。
今回、LINEMOが楽天モバイルを意識して新プランを導入したことで、期待を抱きつつその内容を確認し、直接のライバルである「楽天モバイル」との比較を行いたいと思います。
新登場!LINEMOベストプラン(3GB/10GB)
従来は月間3GBのデータ容量を990円(税込)で利用できた「ミニプラン」が、新たに『ベストプラン』として進化します。容量が3GB以下の場合は、990円(税込)で従来通り利用でき、さらに新たに10GB:2,090円(税込)のプランが追加されました。
このプランでは、月間のデータ使用量が3GBまでは990円(税込)で利用できますが、3GBを超えた場合は自動的に10GBのプランへ移行します。そのため、利用者が3GBから10GBへの切り替えを手動で行う必要はありません。
では、なぜ2段階目が「10GB」なのかという点についてですが、LINEMOは『MM総研が2024年1月に実施した「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態調査」で、17,694人がこの容量を支持した』ことを根拠に挙げています。
確かに、段階制プランにおいて、ある月は3GB以下だった利用者が、別の月にいきなり20GB以上を消費するケースは少ないように思います。そのため、3GBと10GBの段階制は、妥当な選択と言えるのかもしれません。
私の家内もそうですが、月末になると残り少ないデータ容量をなんとかやりくりして乗り切ろうとすることがあります。そのため、データ使用量が3GBで収まるか、足りないかが微妙なユーザーにとって、この新プランは「朗報」と言えるでしょう。
Povo2.0・楽天モバイルと料金比較
3GB | 10GB | 20GB | |
LINEMO | 990円 | 2,090円 | – |
Povo2.0 | 990円 | – | 2,700円 |
楽天モバイル | 1,078円 | – | 2,178円 |
今回のLINEMOの新料金プランのリリースには、「楽天モバイル」を意識した対抗策が含まれているのは明らかです。
Povoや楽天モバイルでは、3GBの次の容量が20GBに設定されていますが、LINEMOは10GBを設定し、中容量を好むユーザーにとって「ちょうどいい」「お得」と感じるかもしれません。
ただし、注意すべき点は楽天モバイルの20GB料金との比較です。楽天モバイルの20GBプランは税込2,178円で、LINEMOのベストプラン10GB(2,090円)との差はわずか88円しかありません。
LINEMOで20GBを利用する場合は、上位プランである「ベストプランV」を契約する必要があり、その際の料金は2,970円(税込)となります。
10GB以内の使用であれば、わずか88円の差でもLINEMOの方が割安でお得ですが、時々20GBを超えることがあるユーザーにとっては、LINEMOでは自動的に20GB料金へ移行する仕組みがないため、ワンプランで自動的にシフトできる楽天モバイルの方が使い勝手が良いかもしれません。
新登場!LINEMOベストプランV(20GB/30GB)
従来月間20GBのデータ容量を2,728円(税込)で利用できた「スマホプラン」は『ベストプランV』に進化します。容量は20GB以下:2,970円(税込)、30GB:3,960円の新料金となります。20GBは若干の値上げになっています(ただし「5分かけ放題」がセット済み)。
Povo2.0・楽天モバイル・ahamoと料金比較
20GB | 25GB | 30GB | 100GB | 無制限 | |
LINEMO | 2,970円 | – | 3,960円 | – | – |
Povo2.0 | 2,700円 | 3,180円 | – | – | – |
楽天モバイル | 2,178円 | – | – | – | 3,278円 |
ahamo | 2,970円 | – | – | 4,950円 | – |
上位プランの競争は激化しています。
LINEMOの新プランは、20GBで「ahamo」と同額ですが、Povo2.0や楽天モバイルの方が割安です。特に「ベストプラン」(小さい方)でも指摘したように、楽天モバイルの20GB料金はLINEMOの10GBプランとわずか88円しか違わず、非常にコストパフォーマンスが高いです。
ただし、LINEMOのベストプランVには「5分かけ放題」が含まれているため、単純に容量と料金だけでは評価できません。「5分かけ放題」を含めた料金で比較すれば、Povoより割安となりますが、通話定額が不要な方にはあまり魅力的ではないかもしれません。
さらに、ベストプランVの30GBは3,960円ですが、楽天モバイルは無制限で3,278円と、料金差が大きくなっています。
ただし、通信状態や利用可能エリアについては注意が必要です。楽天モバイルは、プラチナバンドの試験運用を開始したばかりで、サービス展開が始まったものの、エリアや通信状況にはまだ不安が残っています。今後もこれらの不確定要素が改善されるかは未知数です。そのため、安定した通信環境を求めるのであれば、先行する通信キャリアのLINEMOの新プランが有利となるでしょう。
速度制限のルールも変更になった
新プランの導入に伴い、データ容量を使い切った際の速度制限のルールも変更されています。
従来は、ミニプランでは300kbps、スマホプランでは1Mbpsに速度が制限されていましたが、新プランではさらに「128kbps」の制限が追加されました。
具体的には、「ベストプラン」では10GBを超えた場合、15GBまでは従来通り300kbpsに制限されますが、15GBを超えるともう一段階の制限がかかり、128kbpsまで速度が低下します。
また「ベストプランV」では、30GBを超えた場合、45GBまでは従来通り1Mbpsに制限されますが、45GBを超えると128kbpsまで速度が下がります。
LINEMOの低速は実用性がある
従来は2段階目の制限がなかったため、たとえ低速に制限されても、300kbpsでの利用には実用性がありました。Povoの低速は128kbpsなので、低速時に300kbpsで使えるLINEMOはその点で人気がありました。しかし、今回の改定により、300kbpsが使えるのは「5GB」までとなり、15GBを超えると128kbpsに制限されます。「ベストプランV」でも「30GB」までは1Mbpsが維持されますが、それを超えると1Mbpsから128kbpsへ一気に速度が落ちる仕様になっています。
ベストプランの注意事項に要注意!
LINEMO公式WEBの「ベストプラン・ベストプランV」の説明ページに記載された注意事項が要注意です。以下は注意事項をそのまま書き写したものです。
▽▽以下引用▽▽▽
ベストプラン・ベストプランVの注意事項
- 契約者年齢が18歳以上であることが必要です。
- 法人は対象外です。
- 3G専用端末、VoLTEに対応していない端末、SIMロック解除に対応していない端末など一部対象外端末あり。
- MMS(キャリアメール)は利用できません。
- SMSや海外でのご利用分などは別途料金が発生します。
- 1カ月あたりのデータ量が、ベストプランは10GBを超えた場合、月末まで通信速度を送受信時最大300kbps、15GBを超えた場合(「追加データ」容量を除く)、月末まで通信速度を送受信時最大128kbpsに制限します。また、ベストプランは30GBを超えた場合、月末まで通信速度を送受信時最大1Mbps、45GBを超えた場合(「追加データ」容量を除く)、月末まで通信速度を送受信時最大128kbpsに制限します。
- データ量上限を超過した場合、追加データ(550円/1GB)を購入することで、通常速度でご利用いただけます。
- ご加入当月に解約された場合、契約解除料990円のお支払いが必要です。ただし、「8日間キャンセル」等に基づき解約された場合を除きます。
- 月途中に解約の場合は、日割り計算は行いません。
- ネットワークサービスの安定的な提供のため、時間帯により、動画、ゲーム等のサービス、AR(拡張現実)等の機能を用いたサービス、その他トラフィックの混雑を生じさせるおそれのあるサービスのご利用にあたり通信速度を制御します。
- 通信が混雑、または通信の混雑が生じる可能性がある場合、ネットワーク全体の品質を確保するため、通信の種類及び内容にかかわらず、通信速度を制御する場合があります。
- 一定期間内に著しく大量の通信を継続的に行い、機械的な通信と当社が判断した場合は、当該通信を行うお客さまに対して通信速度を制限することがあります。
- 余ったデータ量は翌月以降に繰り越せません。
△△引用ここまで△△△
なんと、新しい料金プランから「契約解除料」が復活というか新設されます。加入当月の解約(早期解約)への対抗措置ですが、何らかの事由で当月解約を検討する場合は当該項目を思い出してください。
10GBも必要ない人には2回線目にPovoがおすすめ
3GBを超えることはあるものの「10GBまでは使わない」「4~5GBで十分」という方は少なくありません。
月間4~5GB程度のデータ使用量で十分という方には、『Povo2.0』との併用をおすすめします。メイン回線としてLINEMOや楽天モバイルを利用しながら、サブ回線としてPovoを契約する方法です。
Povoのメリットは以下の通りです:
月額基本料がない
Povoには基本料がありません。回線を契約しているだけでは料金が発生しないため、メイン回線の容量を使い切らない限り、Povoは無料で維持できます(最大180日間)。
1GB/390円からデータ容量を購入できる
Povoは必要に応じてデータ容量(トッピング)を購入するスタイルです。最小1GB(7日間有効)が390円で購入可能なので、必要な分だけ追加できます。
購入したデータは月が替わっても利用可能
Povoのデータ容量には有効期限がありますが、月をまたいでも期限内であれば利用可能です。例えば、7日間有効のトッピングを月末31日に購入した場合、翌月に入っても残り6日間は利用できますので、データが無駄になりません。
大手キャリア「au」の通信網をフル活用
Povoはauが提供するオンライン専用の格安プランで、大手キャリアのau通信網をフルに利用できるため、通信品質が高く、混雑時でも速度が低下しにくいです。
余計な手数料がかからない
「契約事務手数料」「SIM発行」「解約」「MNP」などの手数料がかからないため、コストをかけずに契約・運用・解約(転出)が可能です。
LINEMOの新プランで通信量を3GB以内に抑え、Povoで1GBのトッピングを1つ購入すれば、月間4GBで1,380円、2つ購入すれば月間5GBで1,770円で利用できます。
『LINEMO(または楽天モバイル)+Povo2.0』の組み合わせは、小容量のキャリア通信を最も割安に利用する方法と言えるでしょう。
直接のライバル「楽天モバイル」とどちらがいい?
Povoはその特殊な料金体系のため、他のプランと直接比較するのは難しく、サブ回線として利用するのが最も効率的な使い方だと思います。したがって、LINEMO新プランの直接のライバルはやはり「楽天モバイル」になるでしょう。
LINEMOが新プランで2段階の従量課金制に移行したことで、3段階の従量課金制を採用している楽天モバイルと似たスタイルになったことは否めません。LINEMO側が楽天モバイルを意識していることは明らかです。
では、このよく似た両者のどちらを選ぶべきか…これは悩ましいところです。
選択にあたって考慮すべきポイントは以下の通りです:
- プラン利用や通信上のメリット
どちらのプランが利用者にとって使いやすいか、通信品質や通信可能エリアがどうなのか。 - 料金のコストパフォーマンスとフレキシビリティ
どちらが料金面でお得で、柔軟に対応できるか。 - データ容量を使い切った際の使い勝手
低速モードでの利用や追加料金の発生条件について。 - 通話料金のメリット
無料通話や定額通話オプションなどの優位性。 - 家族や複数回線利用のメリット
家族割引や複数回線利用での特典があるか。 - 通信や料金以外のメリット
その他、サービスやサポート面での利点。
これらを考慮して、自分のニーズに合ったプランを選ぶことが大切です。
通信の品質や通信可能エリアなど
この点についてはエリアがほぼ完成しているSoftbankと、ようやくプラチナバンドの試験を行って実際のサービスを展開し始めた(2024/06から)ばかりの楽天モバイルでは、正直比べものになりません。
楽天モバイルは積極的にau(800MHz帯)との積極ローミングで数値上では人口カバー率99.9%を実現していますが、実用上では数値ほど「どこでも快適」な通信が可能とはなっていないのも事実です。
余談ですが、何年か前までは実はSoftbank自身がそういう立場で先行するドコモやauを必死でおいかけていました。今その立場にいる楽天モバイルがいずれ現在のSoftbankと同じ立ち位置に至るのは時間の問題ではないかと思えます。
楽天モバイルの今後のプラチナバンドの展開しだいですが、現時点では、どんな場所でも安定した通信が必須…という場合にはLINEMOがおすすめでしょう。
プラン利用や通信上のメリットはあるか
LINEMOベストプランを利用する上でのメリットは何でしょうか。
- 10GBまでならキャリア系サービスで最安
- 3GB/10GB/20GB/30GBと利用状態に応じた容量(料金)を提供
- LINE利用時の通信が実質無料(高速データ容量を消費しない)
「10GB以内最安(キャリア系)」を謳っていますが、楽天モバイル20GB時との差額はわずか88円です。これをもってユーザーが実感として「最安」だと感じるかどうか微妙かもしれません。88円でも安いのは事実だと受け取るのか、88円差で20GB使えるなら多い方がいい…と受け取るのか、ユーザーはどう判断するでしょうか。
また、3/10/20/30GB容量に対応といいますが、前述のとおり料金的に見れば10GBは楽天では20GBと「≒」ですし、30GBの料金は楽天の「無制限」を上回ります。しかも10GB→20GBは自動的に移行してくれません。
筆者的には、どうにも実用性とお得感に欠ける容量×料金の設定に感じてしまいます。
ただし、「LINE利用時のデータ通信が実質無料」に関しては、LINEを多用する方にはなかなかに大きなメリットですし、他サービスにはないLINEMOのアイデンティティだと言えます。
もちろん楽天モバイルでもLINEは使えますが高速データ容量を消費するので、LINEユーザーが3GB以内に抑えて料金を抑制したい場合などに、LINEMOが絶対的に有利であることは確かです。
料金のコストパフォーマンス、フレキシビリティ(柔軟性)
料金に関して3GB/10GB、20GB/30GBの2段階制になったLINEMOは、3GB・20GBの固定だったところから見れば柔軟になったと言えます。
ただ、料金と使用可能なデータ容量のコスパが高いのは楽天モバイルです。3GBこそほぼ同額(税込で88円の差)ですが、10GBで2,090円のLINEMOに対して楽天モバイルは20GBで2,178円(ここでも88円差)と高コスパぶりを発揮しています。
10GBを超えて20GB以上を利用しようとすれば、LINEMOは「ベストプランV」へのプラン変更が必要なのに対して、楽天モバイルはワンプランのまま「無制限」で使用可能で、最大料金も3,278円とLINEMOの30GB(3,960円)を大きく下回ります。
料金面でのコストパフォーマンスや柔軟性は楽天モバイルに分がありそうです。
データ容量を使い切った際の使い勝手
格安SIMを使う際に、所定のデータ容量を使い切った際の使い勝手の良し悪しは重要なポイントです。
今回の新プラン導入に合わせて、LINEMOは速度制限ルールを改変しました。従来の低速300kbps/1Mbpsの制限に加えて、もう1段階制限を強めた128kbpsを設定しました。
これは従来のLINEMOのメリット=低速でも意外に実用性がある=を喪失することになりますが、300kbps/1Mbpsで最大5GBは利用できるので、実際にはあまり大きなデメリットは生じないかもしれません。
しかし、楽天モバイルはもともとデータ容量の上限のない「無制限」利用が可能なので、常に最高速で利用できる点で大きなアドバンテージを持っています。しかも無制限時の料金はLINEMO30GB時を下回ります。
速度制限に関しても楽天モバイルのメリットが大きいと言えます。
通話料金のメリットはあるか
LINEMOの通話料金は「20円/30秒」と通常料金のままで、MVNOなどが提供している「料金半額通話」サービス(※)の提供はありませんが、「5分かけ放題」(月額550円)を契約から7か月目まで無料で利用できる特典を付与しています。国内通話が無料となる通話定額サービスの割引特典を付与しています(契約から7か月目まで)。
楽天モバイルは、通話アプリ「Rakuten Link」経由で無料通話が可能です。一部にかけられない局番もありますが、通常の電話番号であれば、携帯・固定電話いずれも無料通話が可能です。通話時間や回数に制限はありません。ただしRakuten Linkは通信回線を使用したサービスのため、通話品質が若干悪く雑音が入るとの評判もあります(筆者はかなり改善したと感じています)。
通話専用回線での「5分かけ放題」通話が7か月間無料になるLINEMOを取るか、若干音質に不安があるが無料通話がかけ放題の楽天モバイルを取るか…、これは人によって価値観が違うので一概に言えません。
家族や複数回線で使うメリットはあるか
LINEMOはもともと個人での利用を想定した料金プランです。ファミリー向けには「Softbank」「Y!mobile」の選択肢を持つソフトバンクではLINEMOにはLINEMOの立ち位置があるわけです。
とは言え、それは提供する側の都合であって料金を抑えたいユーザーがLINEMOをファミリーで使ってはいけないわけではありません。しかし、LINEMOには家族利用や複数回線契約による割引や特典などメリットはありません。
一方の楽天モバイルは「家族割引」を設定しています。元々割安料金の楽天モバイルなので、大きな額を割り引くことは難しいですが、一人当たり税込み110円を割り引きます。
さらに家族の中に22歳以下の若者がいれば、一人当たり110ポイントを還元する「最強青春プログラムU22」も提供しています。
家族や複数回線での利用では、楽天モバイルに「お得」な仕組みが備わっています。
通信や料金以外のメリットはあるか
カギはLINEMOユーザーに「Yahoo!」関連サービスへの優待があるかどうか…ですが、残念ながら現時点ではLINEMOと契約したからといって、Yahoo!ショッピングで割安になったり、ポイント還元が優遇される等のメリットはありません。
SoftbankやY!mobileほど、Yahoo!との連携は密ではない印象です。
また、ミニプラン/スマホプランでは無料で利用できた「LINEスタンプ プレミアム for LINEMO」は、ベストプラン/ベストプランVでは提供されなくなり、「LINEギガフリー」以外ではLINEとの連携も希薄です。
一方の楽天モバイルは、楽天グループ全体として「楽天モバイル契約者」を優遇する動きが活発です。
特に楽天市場では、楽天モバイルユーザーであるだけで「+4倍」のSPUアップが得られます。楽天会員のベースポイント「+1倍」と合わせて、楽天モバイルユーザーであるだけで「+5倍」の優遇を受けられます。
支払いに楽天カードを使用すれば、さらに「+2倍」が上乗せされるので、楽天モバイル利用者のほぼ全員が「+7倍」の恩恵を受けられることになります。
また、楽天モバイルの通話アプリ「Rakuten Link」を通じて、図のようなクーポンが配布される場合もあるので、楽天モバイルユーザーの楽天市場でのメリットはかなり大きいと言えます。
通話や通信以外の部分でのメリットでは楽天モバイルの圧勝と言えます。まさにグループ一丸となって楽天モバイルユーザーを優遇しようという意識を感じます。
LINEMOベストプランがおすすめな人
LINEMOの新プラン「ベストプラン」はどんな人におすすめなんでしょうか。
【おすすめポイント】
- Softbank通信網を利用できる(現時点では楽天モバイルより絶対的に有利)
- LINE利用時の通信料が実質無料(ヘビーユーザーほどお得)
- 絶対に10GBを超えない場合は88円といえど楽天モバイルより安い
【残念ポイント】
- 時々10GBを超えることがある場合にはお得にならない
- ベストプランVは実質値上げ(5分かけ放題付き)になる
- 上限なしにせずに30GB上限で楽天モバイルより割高
屋外利用が多く容量が10GBを超える人はベストプランおすすめ
現時点で『通信網の質』で比べると、楽天モバイルは「完全にSoftbankに並んだ」とは言い切れず、まだ大きなビル内や地下街・地下鉄などで「繋がらない」「電波が弱い」といった声が聞かれます。
通信がどこでも繋がる、しっかりアンテナが立つ…という観点を重視した場合、3GB/10GBの2段階制になった「LINEMOベストプラン」は良い選択となるはずです。
一方、データ容量の区切りとして見た場合、「10GB」は確かに「ちょうどいい」感があります。
多くのキャリア系の格安プランが20GBで区切っていますが、3GB→20GBってちょっと広すぎない?と感じていたので、まさに「ちょうどよい」区切りだと思います。ただコスパを重視した場合には必ずしもベストプランがベストとは言い切れないものがあります。
前述のとおり、楽天モバイルは20GBで2,178円の設定なので『10GB少ないのに差額は88円しかない』というのはイメージとして「損した」ような気になる人がいるかもしれません。さらに家族利用する場合なら家族割引分で88円差は埋まってしまうのも小さからぬ違いです。
これらのことから、LINEMOベストプランがおすすめの人は以下のような人と定義できそうです。
(1)屋内・地下利用が多い人
大きなビルの窓際でない場所で仕事をしているとか、オフィスが地下にあるとか、営業周りで地下鉄をよく利用するなどの場合には、通信が繋がりやすいSoftbank通信網のLINMOがおすすめです。
(2)データ使用量が10GBを超えることがない人
LINEMOの場合は、10GBを超えるとアッパープランの「ベストプランV」を契約せざるを得ませんが、「ベストプランV」は現行スマホプランに比べて明らかに値上げとなっているので、楽天モバイルで繋がるなら楽天を使いたいところです。10GBを超えることはないのであればLINEMOベストプランがおすすめになります。
逆を言えば、屋外利用が多い人や、同じ営業職でも車移動が多い人などは楽天モバイルのコスパを活かす選択肢もありそうです。また数か月に1回程度でも10GBを超えたり、家族利用が可能な方は楽天モバイルを検討してみてもよいかもしれません。
10GBはキャリア系最安だというけど20GB超は値上げ
さらに納得がゆかないのが「ベストプランV」です。これまでLINEMOでは20GBを2,728円(税込)で利用できていたのに、新プランでは20GB2,970円必要となり242円の値上げになっています。もちろん「5分かけ放題」がプリセットなので、人によっては「お得」と感じる場合もあるかもですが、逆に通話しない人にとっては余計なものをセットして値上げかよ…となり兼ねません。
10GBはキャリア系で最安だという点をアピールしておきながら、通話準定額を言い訳にして20GBはこそっと値上げって「なんだかね」です。さらに同月内解約には解除金を設けたり、速度制限を二段階にして最悪128kbpsまでしか提供しないとか…って、(そんなつもりはないかもしれないけれど)何だか姑息なものを感じてしまう^^; 人は締め付けをきつくすると逃げるもの…大丈夫かな?
ついでに言えば、ベストプランVの容量上限は30GBで、料金は楽天モバイルの無制限(3,278円)を682円も上回る3,960円。「ベストプランV」の方は『捨ている』としか思えないような、ユーザーにアピールしにくい内容をあえて与えている感じがしてなりません。
何でもかんでも「安い」ことが正義ではないけれど、苦しいユーザーにしてみれば少しでも条件のよい通信サービスを選びたいところ。この状態でもし楽天がプラチナバンドでエリアを大幅改善できちゃったらどうなるんだろう?
Softbankは「Softbank」や「Y!mobile」といったブランドを複数持っているので、LINEMOが自由にのびのびプラン設計できない面もあるのかも…だけど、新プランにだってライバルはいるので、他社に負けちゃったら意味ないと思うのですけれど。
実際に使い比べた感想(筆者の場合)
現在、実際に「LINEMO」と「楽天モバイル」を利用している筆者の印象や感想を参考までに記しておきます。
楽天モバイルを使用した感想
エリア(通信可能な場所)はいまいちLINEMOに追いついていないと感じます。
実際にこんな場所もあって、圏外とまではならないまでもアンテナが1~2本少ないなんてことはよくあります。もちろん逆にLINEMOのアンテナが少ない場所もありますが、わたしの行動範囲(神奈川・東京・ときどき伊豆・まれに関西)ではLINEMOが圏外になったことはありません。
そういう場面ではどうしてもLINEMOに切り替えなければならず、楽天モバイル1本で…というのは正直、まだ難しいのかなと感じます。
また楽天市場での「SPU4倍」をメリットとして紹介していますが、少額では送料がかかってしまう楽天市場をメインにして買い物ができず、プライム会員で無料配送が可能なAmazonでの買い物がどうしても中心になるため、正直、このメリットも生かし切れていないと感じます。
ただ1点、LINEMOにはない楽天モバイルのメリットとして「通話」があります。楽天LINKによる通話は意外に雑音が少なく普通に会話できます。筆者は「G-Call」も使っていますが、楽天LINKを使うようになって以降はほとんど通話料金が発生しなくなりました。問い合わせ先が「0570」が通話先だと有料になってしまうので全面的にというわけにはゆきませんが「無料通話」の恩恵は確かに感じます。
LINEMOを使用した感想
特に何も感じません。それは使用上でまったく問題がないと言うことであり、悪い意味ではありません。使いたい時にしっかりアンテナが立っていて、昼時含めて時間帯に関係なくストレスのない通信ができて…という意味で、当たり前に使えてしまうので何も感じないというわけです。
楽天モバイルのように「SPUアップ」とか「無料通話」だとかといった目立ったメリットはLINEMOにはないのですが、基本の「通信」がしっかりしているので使い勝手はすこぶる良好です。
「Softbank通信網はダメなんだよね」という状況でなければ満足度の高い通信プランとなると思います。
楽天モバイルだけを使用していた時期もあるのですが、その時には「もう楽天モバイルだけでよくね?」などと思っていたのですが、LINEMOを追加して併用して見るとやはりLINEMO(つまりSoftbank通信網)には『一日の長』があるかな…と実感しています。
容量の減り方が違う気がする
こちらの2枚の画像は、本日(2024/08/28)現在の楽天モバイルとLINEMOのデータ使用量です。
自分的にはどちらかをメインに多めに使う…といった意識はありませんが、電波状況で楽天からLINEMOに切り替えることがあるので、LINEMOの方が多く消費している感覚がありますが実際には逆です。
「楽天、容量食い過ぎじゃない?」と感じていますが、厳密に計測しているわけではないのであくまで筆者の感覚によるもので参考程度です。
楽天モバイル3GB+LINEMO3GBが正解では?
ふと思ったんですが…。
楽天モバイルは3GBを超えると+1,100円で2,178円の料金に、LINEMOも3GBを超えると+1,100円で2,090円の料金になります。
現在筆者は楽天モバイルもLINEMOも3GB以内で使うつもりなので、両方で容量6GBに対して料金は2,068円です。容量は6GBになりますが料金としては楽天モバイル(20GB)とLINEMO(10GB)の3GB超よりわずかに割安です。
楽天モバイルの「SPU」や「無料通話」、LINEMOの「Softbank通信網」「低速300kbpsを無料で使える」といった各々のメリットを両方得ながら料金は片方を使うより割安って、実はいちばんお得でメリットの多いプランニングなのでは?と思いました^^
自分は月間6GBあれば十分足りるので、このパターンをしばらく続けてみようと思っています。ただし3GB以下になった際に自動的に料金が安くなるメリットは享受できない点は要注意です。3GB以下になることがあるユーザー、6GB超になることがあるユーザーにはおすすめできませんが。
LINEMO新プラン「ベストプラン」まとめ
LINEMOベストプランのおすすめポイントをまとめると次のようになります。
通信容量に自由度のなかったLINEMOが段階制の従量課金になったのは進化だと思います。3GBで足りない月は自動的に10GBまで使える、逆に3GB以下で済んだ月は990円の支払いで済ませられる…という自由度を得たことになります。
容量の自由度がないことがLINEMOの弱点の1つでしたので、自由度が増した点は評価できると思います。
また3GBでは足りないが絶対に10GBを超えることはない…という場合には、わずか88円と言えど割安になるのでLINEMOベストプランがおすすめです。
「3GBを超えてもいきなり20GB料金に跳ね上がらず、キャリア最安の10GB料金で済む」という点を評価する向きもあるようですが、跳ね上がるといっても2,178円でLINEMOとはわずか88円差ですからね。そこまで「10GBで済む」と胸張れるような差ではないように思います。
また現時点では「通信可能エリア」の点で、ビル内・地下外・地下鉄などでまだ万全とは言えない楽天モバイルにくらべてSoftbank通信網の方が安心であることも事実で大きなメリットと言えます。
ただ、おそらくLINEMO自身も意識したであろう「楽天モバイル」との比較では、通信エリアや通信品質で現時点では勝てていない楽天モバイルが、それ以外の項目では勝っていることもまた事実です。
家族や複数回線での割引や、3GB/20GB/無制限とシームレスにデータ量(料金)が以降できること、わずか88円差で20GB使えること、容量を上限なしの無制限で利用できること、楽天市場での優遇などでは楽天モバイルに魅力を感じます。
難しい選択ですが、楽天モバイルがプラチナバンドでエリアの穴をどれだけ埋められるのか…を確認して「これならOK」と思えるまではLINEMOベストプランがファーストチョイスかなと思います。楽天モバイルの数々のメリットに魅力を感じるなら楽天モバイルの選択も充分「あり」かと思います。
筆者的に考えると、両社のメリットを二重取りして料金もまあまあ割安な楽天モバイル+LINEMO各3GB利用で月額2,068円が現実的な選択かなあ…と思っています。